FC2ブログ

「はなとゆめ」


はなとゆめ (単行本)はなとゆめ (単行本)
(2013/11/07)
冲方 丁

商品詳細を見る


清少納言が枕草子を書くにいたるお話。歌で会話をする、そうした知識と表現力が最大限に評価される時代に幾許かの憧れを感じる。言葉の魔力。

冲方 丁はコンサルタントっぽい。いい意味でも悪い意味でも。

物事をしっかりと咀嚼し、自分なりの言葉・ストーリーをもって表現する能力は随一だ。毎回毎回異なるテーマ、異なる表現方法を持って作品を完成させていくさまは、あたたかもコンサルタントが3カ月おきにプロジェクトを変更させていき、知識とスキルを蓄積させていくかのようである。

一方で、彼から一貫した哲学というものを感じることは難しい。結果として彼の作品に深い何かを感じ取ることは出来ない。わびさびのような概念や「さりげなさ」はあまりなく、美しい表現も過剰になると甘ったるくなる。こうした点はラノベの雰囲気を感じざるを得ない。美辞麗句のスライドで感情を揺さぶられるものの、その先に続けることの出来ないコンサルタントを思い出す。
スポンサーサイト



変わってしまった

自分の小さい頃の写真を見直す機会があった。生まれた頃の写真、家族旅行の写真、幼稚園の写真。ほとんどの写真を見たことがなく、赤ん坊の頃の写真に至っては、本当にこの写真に写っている小さな男の子が自分なのかすら分からなかった。ぷっくりと太っていて、どちらかといえば細身であった幼少時代の記憶に合わないのだ。

さて、自分が小さいということは、当然ながら両親も若く、祖父母も若い。両親の格好も古めかしく、歴史が進んだことを感じざるを得ない。こうした「時の変化」に対し、自分自身の感情は大きく二つの方向に揺れ動いていた。

まず、過去に対して「安心感」や「憧れ」などのポジティブな心情を抱く。過去は既に完成されたもので、それに手を加えずとも、安心して見ていることが出来る。そうした時代に戻りたいとすら思う。

こうした感覚を表側で持ちつつ、裏側ではまた異なる感情と闘っている。未来への「不安」。現状に大きな不満を抱いたことはないが、将来に大きな不安を抱くことは多い。せっかく手に入れた満足が、幸せが、時間が経つにつれ、自分の掌から零れ落ちてしまうように感じてしまう。変化していくこと、時が経っていくことが耐えられないのかもしれない。

あぁ、世界は、あなたは、わたしは、変わってしまった。こうして、過去に憧れ、未来に恐怖し、現在に縛られてしまう。
プロフィール

I is Ninth

Author:I is Ninth
Secret makes secret secret

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
QRコード
QRコード