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「世に棲む日日」


世に棲む日日〈1〉 (文春文庫)世に棲む日日〈1〉 (文春文庫)
(2003/03)
司馬 遼太郎

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前篇として吉田松陰の生涯を描きつつ、
後編では松陰の思想を受け継ぐ形で松下村塾生、特に高杉晋作の活躍が描かれる。

結局のところ松陰は時代の転換点とも言うべき大思想家とされているが、
司馬遼太郎をもってしてもその本質が何か見抜くことは出来なかったのだろう。

彼が果たした役目が何なのか、なんとも分からないままだ。

秀才として描きつつも、どこか抜けた部分があり、それが致命的な欠点として松陰に陰をもたらす。
司馬氏はそれを「軽信」という言葉をもって表現する。
人を疑うことを知らず、世の中を軽く信用するために失敗するのだと。
結果、用意周到の真逆をいくような行動をとり、かつ、勘も鋭くないため、あらゆる行動が失敗におわる。
そのため、史実に残る「英雄」たる行動は一切なく終わってしまう。

また、彼の思想は若者を焚きつけはしたが、あくまで起爆剤の意味しかもたらしていない。
攘夷は空振りに終わり、失敗することで、攘夷派を開国派に変換させることになる。
その思想家としての一助は結実するどころか、変革のための材料にしかすぎなかったのだ。

焚きつけた面だけをもってすれば、それは思想家たる人物ではなく文筆家であり扇動家であった。
その後の志士を結びつけた面だけをもってすれば、それは教育者であった。

時代は思想家、志士、実務家という流れを経て転じると司馬氏は論じるが、一体、吉田松陰は思想家だったのだろうか。
結局のところ、やはり司馬氏があとがきで述べる「飾り」でしかなかったのだろうか。

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しかしながら、吉田松陰、あぁ、これが私の目指していた人物かもしれない。
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